カナダの暗い歴史と現実、向き合うべきは先住民問題

カナダを知る上で欠かせないのが先住民問題とその歴史についてです。

カナダへの留学や移住を考えて情報収集をしている人はもしかしたらカナダの良さばかりを聞いているかもしれません。

そこで今回はカナダの暗い過去について紹介したいと思います。

カナダの先住民族とその歴史

先住民族とは?インディジネスとその暮らし

先住民族とは、その名の通り今のカナダの土地に先に住んでいた民族のことを指します。

英語では、

ファースト・ネーションズ  インディジネス   アボリジナル

という言葉が使われています。

※インディアンという呼び方も存在しますが、差別的な用語として扱われているので使わないようにしましょう。

カナダの先住民は3種類に分類されます。

  1. ファースト・ネーションズ(先住民の血を引く)
  2. メティス(先住民と別の人種の混血)
  3. イヌイット(北極圏に住む先住民)

もちろんこれは大まかな分類であり、この中でも細かい民族の分類があります。

2021年の時点で355万人のインディジネスが住んでいると推定されており、現在では政府によって管理されている保護区域、またはインディジネスコミュニティーのある地域に住んでいることが多いです。

カナダ占領の歴史

アボカド

この156年という短い歴史の中でカナダがいかにして世界の先進国に成りあがったのか。そこには暗い過去と犠牲があったと言わざるを得ません。

歴史

1604年に初めてフランスが現在のケベックとなる地域に移住し、先住民との平和条約を経て、カナダの天然資源を取引し始めます。

カナダの天然資源に惹かれたのはフランスだけではありませんでした。すぐにイギリスも財源を求めカナダを植民地にします。

フランスとイギリスの間で土地の取り合いになり競争が激しくなりますが、最期はイギリスが勝利し、1982年にカナダは独立国になりました。

この間のインディジネスの扱い

この間、インディジネスはヨーロッパの資本に基づく価値観を押し付けられ、「条約」という名目で土地や資源を奪われました。

多くのヨーロッパ人はヨーロッパ中心主義者であり、インディジネスの文化、政治、ルール、マナー、信仰は無視され続けていたのです。

また、インディジネスはヨーロッパ人の持つインフルエンザや天然痘などの病原菌に免疫がなく、1770年から1790年にかけて半分以上が死んでいきました。

手短に説明するために詳細は省きましたが、カナダ占領の歴史についての大まかな流れは伝わったと思います。

同化政策とその影響

アボカド

先ほどの歴史を経てもなお、インディジネスへの仕打ちは悪化していきました。

特に問題だったのがカナダという国が建国されてから行われたインディジネスの子供たちの同化政策です。

同化政策の内容は子供たちを国によって支援されたレジデンシャル・スクール(寄宿制宗教学校)に入学させ、強制的に西欧の文化を学ばせる内容でした。

レジデンシャル・スクールというのは全寮制のカトリック学校で、4歳から16歳の子供15万人が行ったとされています。

表向きのプロパガンダでは子供の再教育を掲げていたものの、実際に入学した子供たちは一切の言語、伝統を禁じられ、西欧のカトリックの教えを厳しく教育されました。

また衣食住の環境が整っていなかったため多くの子供たちが飢え、死んでいきました。

肉体的、性的暴行は当たり前のように行われており、その苦しみやトラウマは今でも残っています。

現在注目を浴びている先住民問題

インディジネスの暮らし

インディジネスについて一番良く言われる問題が、彼らの貧困と社会からの疎外についてです。

カナダで行われている多くの研究では、インディジネスの貧困と社会的疎外を原因としたQOL(人生の質)の低下が問題視されています。

一般人と比べて高い自殺率、飲酒・煙草・ドラッグ中毒者数、20年ほど低い平均寿命、多すぎる糖尿病の比率など、問題を挙げればきりがないほどです。

  • 文化による生活や価値観の違い
  • 医療現場や職場におけるシステミック・レイシズム(システム化された人種差別)
  • アクセシビリティの欠如
  • 社会的支援の欠如
  • 過去のトラウマやそれを原因とした中毒など

このような原因が絡み合った結果が今の先住民の健康的且つ幸せな暮らしを阻んでいるのです。

文化の喪失

カナダ政府による同化政策によって失われたインディジネスの文化はもう戻っては来ません。

かつてあった暮らしや伝統を受け継ぐ人が激減し、現在ではインディジネスの文化は絶滅寸前です。

ミュージアムや先住民族の暮らしを体験するツアーなどでは彼らの文化を学び体験できることが出来ますが、それはあくまでも知識の保存であって文化の保存ではありません。

また、2016年の時点でインディジネスの言語を喋る人はインディジネス総人口の15%と推定され、

「二週間ごとに一つの言語が死んでいる」

と言われています。

カナダ全土でインディジネスの言語を教えている学校はわずか3校で、先住民の文化を受け継ぐ人は年々減っているのが現状です。

暗い過去棚上げのカナダ政府

カナダ政府の政策

カナダ政府は2007年にレジデンシャル・スクールの被害となったインディジネスに19億ドルを補償し、その後2008年に政府としてインディジネスコミュニティーに謝罪しました。

また、コロナ禍での支援として6億5000万ドルの補償や2022年では先住民による環境保存プロジェクト支援のため8億ドルを補償しています。

条件付きではありますが、免税、教育費支援、軍隊への就職支援、大学・専門学校入学の支援プログラムなどの支援制度も設けているようです。

尚、ここまでだと積極的にインディジネスの支援をしているように見えます。

しかしこれは暗い過去をここ20年まで棚上げしてきた政府に立ち上がったインディジネスの努力の結実であり、政府が称賛されるべきことではありません。

アボカド

先ほど「インディジネスの暮らし」に書いた問題が全く良くなっていない現状が、根本的な課題から目を背けている証拠ではないのでしょうか?

カナダの現役高校生の視点から考察

教育に取り入れられる先住民問題

ここからはデータや歴史などの事実に基づく話ではなく、私の経験に基づく話をしたいとと思います。

カナダで8年間教育を受けてきて私が思ったのは、先住民問題の教育に関しては100点だと言うことです。

現在カナダで行われている先住民に関する教育は:

  • 毎朝のLand Acknowledgement/領土の認証

これはカナダという土地が先住民の土地であることを認め、謝意を表すものです。領土の認証が読まれた後国歌が流れるのですが、その間全ての人が起立し静止します。

  • 祝日に行われるデコレーションやイベント(レッドドレスデーやオレンジシャツデー)
  • 先住民によるレジデンシャル・スクールの経験談や対談
  • 国語や歴史の授業で積極的に取り上げられる先住民問題

各ポイントの詳細が気になる人はコメントしてね!

アボカド

しつこいほど耳にする先住民問題は現在カナダに住む若者で知らない人はいないほどです。

祝日から高まる認知度

カナダでは有名なインディジネスに関する祝日が3つほどあるので、紹介したいと思います。

①Truth and Reconciliation Day(真実と和解の日)9/30

オレンジシャツデーの名でも知られるこの祝日は、レジデンシャル・スクールで起きた悲劇を真実として認め、和解に取り組む日です。

この日はオレンジのシャツを着て一日を過ごします。なぜオレンジなのかは、長くなるので省きます!

②Red Dress Day(赤いドレスの日)5/5

「National Day of Awareness for Missing and Murdered Indigenous Women and Girls and Two-Spirit People」

というとてつもなく長い名前も持つこの日ですが、誘拐や殺人の被害にあったインディジネスの女性たちを思い出し、認知を広める日です。

1980年から2014年にかけて多くのインディジネスの女性が誘拐され、殺害されました。

まだ見つかっていない遺体、見つかっていない犯人がいる中で、この問題に対する認知度は高まっています。

なぜ赤いドレスなのかの説明はまたまた省きます!

③National Indigenous Peoples Day(全国のインディジネスの日)6/21

この日は単純に全国のインディジネスの人々の存在とを認め、感謝し、彼らの文化の意義を認める日です。

地域によってはフェスティバルやイベントが行われ、全国でインディジネスの人々が注目される日です。

しかし変わらない現状

私の周りではこのような声をよく耳にします。

先生A

確かに教育によって認知は増えているけど、実際何も変わって無くない?

友達B

朝の儀式(領土の認証)はほんとに意味あるん?

生徒C

謝るけど、土地は返してやらないってこった(笑)

確かに私自身もそう思うことがあります。確かにどんな問題も問題提起と認知を広めることから始めなければなりません。

ですが状況を本当に良くしていきたいのなら、やはり問題の核心を探り、取り組んでいかなければならないと思うのです。

カナダの暗い歴史と現実、向き合うべきは先住民問題 まとめ

カナダの先住民族とその歴史

  • カナダの先住民族は「ファースト・ネーションズ」「インディジネス」「アボリジナル」として知られている。
  • カナダの土地は無理やり占領され奪われたもの。
  • 同化政策によって多くの先住民が苦しんだ。

現在注目を浴びている先住民問題

  • インディジネスの暮らしにおける社会問題は多い。
  • 先住民の文化が失われている現状。
  • 暗い過去を棚上げしてきたカナダ政府に問題がある。

カナダの現役高校生の視点から考察

  • 先住民問題の教育は盛んに行われている。
  • 祝日などによって認知度が引き上げられている。
  • しかし、根本的な現状は変わっていない。

私がこのブログで紹介した先住民問題は氷山の一角であり問題は他にも数多く存在します。

これからカナダ政府がどう先住民問題と向き合っていくのか。インディジネスの人々が報われることを願うばかりです。

次の記事:これを読めば完璧!カナダの冬の寒さ対策と過ごし方完全版

週に一度の投稿を目指しているので、ぜひ読んでみてください!

著者 プロフィール

私、アボカドは小学校2年生の頃カナダのトロントに移住してきて現在高校2年生です。カナダの現地校と日本語補習校を両立しながら勉強しています。

このブログでは、

「包み隠さずリアルを届ける、カナダ在住の高校生の本音。」

をコンセプトに私がカナダで経験したことを元に考えたことや思ったことを正直に伝えます。

子供としてカナダで育ってきたからこそ提供できるオリジナルな視点で情報をお届けします!

アボカド

もしご質問や記事にしてほしい内容などがありましたら、ぜひコメントください!

筆者の経験したことのある内容であれば、出来る限り記事にします!

参考文献

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